七歳美郁と虚構の王 2

七歳美郁と虚構の王2 (ガガガ文庫)

七歳美郁と虚構の王2 (ガガガ文庫)

 あんまり面白くは……無い。前作ではちょっと抑えてたのかと思うほどに邪気眼炸裂。しかも、前回はあくまで存在しなかった事になってた外木場外郎と白雪が普通に登場しちゃいました。別に悪くは無いけど、作品の魅力は少し薄れたかな。
 超、邪気眼。すっごい邪気眼。クラウン・フリントがガガガの厨二病ノベルだとすれば、こっちはガガガの邪気眼ノベル。良い感じに双璧張れてます。話の面白さ的にはクラウン・フリントが勝つけど。前作は世界観の導入ということもあって、色々とワクワク感もあったけど、今作はあくまで邪気眼の異能力バトル。面白さ、五割減。実を言うと、ちょっとばかり読むのが苦痛だった。
 相変わらずソトキバ・ウィローっていう設定は良い感じなんですが、どーもその周りを固める設定たちが邪気眼邪気眼で、しかもご都合的すぎるのでうんざりです。しかもソトキバ・ウィローの無敵っぷりの裏付けが、「九十九人がそうだと思うから、そう。異論は認めない」とかいう明らかに無茶い理屈なので、なんだかなー、という印象。
 人格のプログラム、というのもサイバーパンク的には美味しい話題だけど、どーもそれが生かし切れてないのと、個人的にやっぱり電脳無しにそういうことやると少し違うかなー、とも。これはあくまで自分が勝手にそう思ってるだけだけど。そもそも、プログラムが肉体の不備を補うって、普通逆だろ。
 出てくるギミックもまたいい加減な感じの説明ばかりで、ちょっとだけハードSFが好きな身としては、「何だその便利な設定」という印象がずっと付きまとう。いい加減な設定を使い回しても面白いならまだ面白いけど、ちょっとつまらない。
 ソトキバ・ウィローが真似た鉄扇の技も、いちいち自分が投げた指を反対側に回って打ち返す余裕があるなら、そのすれ違いざまにヒモで攻撃すればいいジャン、的な見栄えだけしか考えてない対処法で、勝ちを優先する外木場らしくない、というか作者それがやりたかっただけでしょ、という感想が。
 面白く無いことは無いんだけど、やっぱりつまらないかなーという今作。今月には三巻目も出るみたいだけど……買うかな? 悩むな。あとがきもつまらないし。

 名言
「手段なら見つけた」