その日彼は死なずにすむか?

その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)

その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)

 つまらん。やや読むのが苦痛なレベルでつまらなかった。体は子供、頭脳は大人なシチュエーションが生かされず、全く以て意味不明。普通、記憶を持ったまま過去にタイムリープしたら、多少はどっかしら「強くてニューゲーム」的な要素を持つ気がするけれど、それが皆無。精神年齢が肉体に引っ張られるとかもっともらしい説明で誤魔化そうとしているが、それにしても単なる小学生の恋話を延々と300ページ続けられるのは辛い。
 設定が非常に適当に感じる。主人公が死んだのがいつかは分からないけど、七年さかのぼって普通に小学生が携帯を持ったりブログを呼んだりしているのは、一体何年の話なんだろうか? その割には七年がもう一回経過しても、大して日常生活のガジェットに変化が感じられない。ソフィアのお母さんは車で来たハズなのにビール飲んで歩いて帰るし、事実を指摘されて恥ずかしがる意味が分からないはずのソフィアがアニオタの事実を隠していたり、爆弾の存在を予知できた主人公に対するツッコミは無いし、術後なのに割と平然としているし、全編通して違和感が凄かった。ゲームのルールそのものも、何だか「それはどうなのよ?」みたいな適当なものだし、もやもやしたモノが頭に残る。
 キャラクターの造形は悪くないと思う。個人的に思うライトノベルに必要な「魅力的なキャラ」というものは、多少のありきたり感はあったけど、良かったと思う。特に、とも美の葛藤辺りには良い雰囲気を感じる。
 だがしかし、いかんせん話がつまらない。単にマキエルの手助けを借りてもう一回青春をやり直しただけ。それも、友達ゼロの完全ボッチ状態から女の子三人とキャッキャウフフできる人生に鞍替え。別にそれが悪いとかではなく、なにかもうちょっと面白く感じられる要素は無かった物かな、と思ってしまう。

 名言
「僕は悪くない……としても、僕のせいなのは間違いないよ。僕の行動が原因で起こることなんだから」