人類は衰退しました 4

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)

 ビックリするくらいハズレの無いロミオ本。まあ、ラノベだと「人退シリーズ」と「AURA」しか無いんですけどね。
 相変わらずの面白さ。今回は一冊の本を半分に分けて、中編の二本仕立て。一作目は相変わらずのはちゃめちゃ冒険記。二作目は、これまた相変わらず人間の進化を皮肉った妖精さん大暴走。平たくいってしまえば、これまでの全三作では一冊で使っていたテーマを二つに分断してみました、という感じ。
 今まで楽天家だった妖精さんたちが、ある日突然欝ってしまったという状況が何だか笑えてしまう。なんというか、妖精さんたちのキャラを考えたら決して笑える事ではないのに笑ってしまう。
 チキンたちが革命を起こす話も、なんというか正しく「その発想は無かった」というか、「発想しようとも思わなかった」みたいな感じで、これから先もロミオ氏にしか書けないシュールギャグに違いない。衰退した世界を、こうもブラックなユーモアで書き表せるものかともう感心するしかない。
 ブラックといえば、主人公の「わたし」って、性格に相当問題あるよなー、とか思ったり。ある意味で、オタク的心理の写像なのかも知れないけど、基本的にダメだコイツみたいな感じ。まあ、そこが良いっちゃ良いのかもしれないが。
 この「人類は衰退しました」シリーズの楽しみの一つとして、アホみたいに強力な科学力(?)を持つ妖精さんたちが一晩で文明を築き上げて、それがしょーもない理由で崩壊するという所にあると思う。まさに人類の発展に対する皮肉のようなモノで、読んでいて痛快(最も、作品に特にメッセージ性なんか無いと公言するロミオ先生だから、そこまでの意図があるかは知らないけど)。今回はそのスパンが長く、しかも木材だけという縛りがあるながらも、面白おかしく王政の発展と衰退を描いている様が相変わらず楽しい。しかも、所々で「Age of Empire」シリーズ的な匂いを感じて笑ってしまう。
 ところで、チキンの話に出てきた後ろ向きな女の子と、意思を持つ髪の毛があんまり話に絡んでこなかったのは意外だった。以降のシリーズに出てくるのだろうか?
 あとがきでは、ロミオ先生が何やら「人退シリーズ」に新展開があるかも知れないと言っていたので、来年を楽しみにしています。

 名言
「はでさがたりんなー」「もっとだいなみっくに!」「とにかく、なんでも、おおきくするべき」「いまいちかと」「わかりやすさ、じゅうよう」「みりょくてきなきゃら、もっと」「れんあいようそ、ほしい」「まにあっくすぎ?」「らいとそう、つかまえなきゃ」