東京ヴァンパイア・ファイナンス
- 作者: 真藤順丈,佐々木少年
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/02/10
- メディア: 文庫
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面白い。さすが電撃の受賞作、と思える面白さ。そして佐々木少年先生も相変わらず絵がうまい。ぶっちゃけ、表紙を見た時点では外れかと思っていたけれど、これは良かった。
まず大きな特徴として、群衆劇。四人のメインキャラたちが、主役の万城小夜を通してちょっとだけ関わっているテイスト。欲を言えば、最後に怒濤の伏線回収&メインキャラがそれぞれ深く交錯する、みたいな展開を期待していたけれど、あまり深い因縁は無かった模様。それでも途中の過程がワクワクさせてくれるようなニアミスがあったりで、面白かった。
銀賞の帯の裏に、「映像を想起させる筆者の力量は抜群だと思います。」との推薦文があるが、これがまた良い推薦文だった。たしかに、真藤順丈先生のストーリー展開は、頭の中で勝手に映像化してくれるくらいすんなりと頭に入ってくる。実際、今回はあまり時間がなくて、飛び飛びでこの一冊を読んでいたのだけど、不思議と話の流れを忘れることがなかった。印象深い筆力、という意味ではとっても凄いと思う。何とも心憎い推薦文で、正直羨ましい。
萌えキャラは、間違いなく濱田しずかちゃん。いや、さん? ケミカルドラッグ作っちゃう甘い物好きのパティシエになりたい女の子とか、良いね。またこれが佐々木少年先生のイラストで、華やかに甘い物を囲む姿と、部屋で一人地味ーに暮らしている姿のメリハリがハッキリとかき分けられていて、可愛いのって何のって。ケミカルドラッグ作っちゃう辺りは、なんかリアルに嫌悪感だけど、可愛いから許す。可愛いから許す。
じじいたちの復讐も、こっちの期待を裏切ってくれる展開でドキドキした。ただ、そんなに上手くいくもんかなー、とかいう突っ込みは無しとして。一回目のどんでん返しがインパクト強かっただけに、最後の詰めがちょっと弱かったかな、というもの少し残念。しかし、面白かった。
ときに、フレンチキスって、ディープキスのことではなかったか? 間違っても、小鳥のさえずりキッスでは無かった気が……
この一冊は買いです。萌えという意味ではちょっと大賞に負けるかも知れませんが、話の面白さでは余裕で大賞に勝てます。お奨めです。
名言
「じゃあ始めるぜ。長い夜だったけど、最後に無礼講だ!」