とある飛空士への恋歌2

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)

 新キャラが数人お目見えしただけで、話的にはほとんど進んでない気もする。あるいは、起承転結の承の部分なのか。ストーリー全体として、次はどうなるんだろう、どうなるんだろうみたいなドキドキはなく、まあこうなるんだろうみたいな、ある意味でお約束的展開ばかりが繰り広げられて、イマイチ面白いと思う部分が無い。果たしてこのシリーズが何巻で終わるのかは知らないけど、スッキリ終わって欲しいな。
 クレアの方は、何だかカルエルが元皇子だと感づき始めた様子。どう転んでも確実に泥沼の方向に頭から突っ込むのは見えているので、そこをどうやって解決するかが楽しみ。お互いにお互いの境遇を知らないだけに、互いの正体を知ったときはどうなるんだろうというドキドキ。絶対にその瞬間は面白い筈だから、なおのこと今作の「何も無さ」がつまらなく映ってしまう原因となってるんだろうなと思う。
 カルエルとクレアが海で遭難するのは、とある飛空士への追憶に対するセルフパロディなのか、それとも単に吊り橋効果を狙った舞台背景なのか知らないけど、相変わらず作者の犬村先生は「微妙な距離感」を書くのが上手だと思う。追憶でも恋歌でも、それぞれのキャラクターの間にある「微妙な距離感」を上手く表現できていると感じる。それがカルエルと兄弟との間だったり、カルエルと母との間だったり、カルエルとクレアとの間だったりするけども、その全ての距離感が分かりやすく素直に伝わってくるのは、凄いことだと思う。
 あと、謎のラーメンプッシュと、どう考えてもCV沢城みゆきな寮長先生はどうかと思う。どっちもハズしてる感が凄い。

 名言
「……バカだね。きみに話してて気付いたよ。うん、アリーはいつも怒るけど、それはきみの言うとおり、ぼくのためにそうしてくれて……うん。ぼくもそれはわかってるつもりだったけど、このところ忘れてたみたい。バカだね」