ソードアートオンライン1 アインクラッド

ソードアート・オンライン1アインクラッド (電撃文庫)

ソードアート・オンライン1アインクラッド (電撃文庫)

 ビックリした。凄く面白い。こう言っては悪いけど、あのアクセルワールドと同じ作者とは思えない。本当に、面白い。
 スタイルとしては近未来的SFチックなゲームをベースにしているけど、描写されるのは基本的に中世ファンタジー。けど、その中でもしっかりと近未来要素と中世要素が混ざって描写され、更にそれが上手く調和しているから心地が良い。キャラクターたちのバックグラウンドは分かりづらいけれど、それが逆にMMORPGという独自の文化の土台に乗っ取った形式になっていて、不思議と違和感が無い。誰もがバックグラウンドの読めないキャラなのに、しっかりとその本人はゲームの中に存在しているという、ある意味確かな存在感とリアリティがあって良い。
 というかな、アスナがかわいすぎるんだよ。マジで。ツンデレっていう言葉の原点である、人前ではツンツン二人だとデレデレという定義に立ち帰れば、アスナは間違いなくツンデレ。人前では凛々しい女騎士なのに、キリトの前ではただの可愛い女の子。しかも料理スキルマックスで、部屋は綺麗に片付いている。なんだそれ、俺を萌え殺す気か。
 どのキャラも非常に個性が際立っていて、好き。中でも一番好きなのは、ゲームの開発者兼ヒースクリフ茅場晶彦。彼みたいなぶっ飛んだ科学者キャラって王道だけど、サイバーパンク界隈でやられると非常に魅力的だよね。一番を通り越して殿堂入りはアスナだけど。
 ストーリー展開も非常に王道を突っ走っていて、読んでいて心地良い。ホントに、アクセルワールドじゃなくてこっちで電撃大賞に応募していれば、と本気で悔やまれるほどに面白い。世界設定も割と良く練られている感じで、読んでいて違和感が無い。細かいところの設定には多少疑問がある部分もあったが、正直誤差って言っても許せる。ストーリー全体の展開は、起承転結が二段の入れ子構造になっている感じがして、全編通して息をつけない展開が続いたかと思えば束の間の平和な日々を享受したりと、非常にメリハリがあって飽きない。掛け値無しの面白さを手提供してくれる。絶対に続編も買いだ。
 実際に自分はMMORPGFF11をちょっとかじった程度だけど、なるほど究極的な廃プレイヤーはこんな感じなんだな、と思わせてくれる一冊。いや、ホント、アクセルワールドで見くびっていてごめんなさい。ホントに凄く面白かったです。

 名言
「わたし、ここで一つだけ覚えたことがある。諦めないで最後まで頑張ること。もし元の世界に戻れたら、私は絶対にキリト君ともう一度会って、また好きになるよ」