死なない男に恋した少女
- 作者: 空埜一樹,ぷよ
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2008/06/30
- メディア: 文庫
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なんで殺人鬼は殺さなかったの?
作者は第一回ノベルジャパン奨励賞を貰った方のようですが、買った理由はそれとは全然関係無く、どこかのブログを見て面白そうだったので買いました。面白くは無かったです。
とりあえずまず思うのは、作者が奈須きのこと谷川流の影響を大いに受けているんじゃないかなーということ。いや、はっきりとは言えませんが、見せ場で「殺せ」とか「刺す」とかの単語を二十回くらいくどいまでに連呼してみたり、モノローグがキョンみたいだったり、モノローグに対して他のキャラがリアクション取ったり。あんまり上手に真似ているという気はしなかったので、もしかしたら全然関係無く作者の素の作風なのかも知れませんが、いらぬ邪推をしてしまいます。
何をやっても死なない主人公と、それに恋した殺人鬼の少女という設定はとても面白かったです。ただ、主人公が刺されることに対して明確な痛みを訴える描写が薄すぎたことと、殺人鬼の設定がどうも首を傾げたくなる感じでした。惜しむべきは、ストーリー上どの辺りに必要性があったのか分からない「政府」の人間。その設定、要るのかな? というのが率直な感想です。あと、なんで久遠は死ななかったんでしょう? 「三日月うさぎ」がどうして殺さなかったのか疑問です(別に死ねという意味ではなく、ストーリー上なんで殺人鬼は殺さなかったの? という意味です)。
久遠が刺されたことに対して憤る主人公はいいんですが、なんでその気持ちが桐崎がいままで殺してきた人間に向かわないのかも疑問です。てっきり、久遠が刺されたときに、桐崎に今まで殺されてきた人間の気持ちが分かり葛藤するのかと思いきや、完スルーでちょっと謎でした。
作者の方には申し訳無いのですが、あんまり面白くは無かったです。でも設定は凄くいいと思います。
名言
「――俺が、【死なない】ってやつ」