ダンタリアンの書架 1

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)

 表紙が本を読むゴスロリ幼女とか買わざるを得ないだろう。
 面白いです。人外合法ロリに、弱々しくてもやるときはやる青年コンビが、幻書にまつわる様々な事件に巻き込まれていく話。そもそもが人外ロリ&青年という組み合わせに、本の力でパワーアップ、ゴスロリなど、ラノベでは非常に使い古された感のある設定なのだが、まあ古くから使われてきた物にはそれなりに面白い理由があるというのか、とっても無難な感じの面白さでした。というか、表紙が本を読むゴスロリ幼女とか買わざるを得ないだろう。
 実のところ、三雲岳人氏の作品は初めてなのでこの一冊だけの感想になるけれど、心なし文章が単調というか、固いというか、変化に乏しい気がする。多方面で活躍される作家(例えば、桜庭一樹とか乙一とか)は、どうしてか文章が真面目な気がする。あるいは、ラノベという環境が文章の固さを知らず知らずのうちに破壊しているのかも知れない。どちらが良い、どちらが悪いではなく、単にそういう気がするというだけの話だけど、やっぱりライトノベルの外を見たことのある人は、文章の角が取れるのだろうか。
 本作はスニーカーに連載されている短編をまとめた物らしく、一つ一つの話が短い。しかし、それぞれの話に必ず大きく見せ場があって、なおかつ綺麗にまとまっているから非常に読みやすい。また、読んでいて退屈しない。あっさりと、それでいて中身のある本を読みたいときにはお奨めだと思う。
 尊大な言葉を喋る、特別な力を持った人外で、何百年も生きてるから合法なロリ、しかもフリフリドレス装備。こう特徴だけ並べると、非常にありふれたどころか、もう読みたくなくなってくるくらいにウンザリする設定に感じるけど、意外にそうも思わないほどすっきりと読めてしまったのは、単に尊大なだけではない口調のせいだろうか。それとも俺がロリキャラが好きなだけだろうか。やや生真面目な主人公とのシナジーもなかなかで、作者のキャラメイキングの上手さを感じる。
 一番好きだったのは、一番最初の「美食礼賛」。すんなりと話に入っていける上手な書き方がうまい。しかし人間、欲望をつきつめるとどうしようもないもんだな。
 タイトルに既に1と書いてあるように、わざわざ望まなくても続刊らしい(というか、スニーカーで連載中?)ので、続きを楽しみにしています。

 名言
「このボケナス……」