俺の妹がこんなに可愛いわけがない (2)

 いや、やっぱり可愛くねえよ。
 いや、やっぱり可愛くねえよ。やっぱり。どうにも俺のアンテナと波長が合わず、全くもって可愛くねえ。
 続刊が出ると聞いたときは、「電撃と角川は相変わらず自重しねえなー」と思い、同時に「ぜってーこける」と思ったけれど、蓋を開けてみればそれなりに面白かったのでまあこれはこれでありかと。前回の親バレに続き、今度は親友バレ。これはキツイだろうな。
 相変わらず主人公と妹がイマイチバカなのに対して、脇役が良い味を出している。特に今回は、最萌え成分である真奈美成分が多かったので、個人的にはそれで満足。沙織も相変わらず良い奴だし、とても良いことだ。
 前作は随分といろんな意味で話題になったためか、続刊の報に正直良い印象は無かったのだけれど、今作は意外にもオタクという世間的には微妙な立ち位置の人間が無意識に負っているイメージというのを、上手に料理したと思う。どこかのブログでも記事になっていたけれど、前作で特に話題になった「アキバblog」や「カーズSP」という単語は、そのままどっか別のニュースサイトに置き換えても特に違和感が無い、つまり単にオタクの情報収集という行為にリアリティを出すための仕掛けであって、(多少の意図があったにせよ)単なる話題作りだけでは無かったという見方に自分は賛成する。今回、さすがにカリビアンコムは伏せ字入ってたけど、確かにあれはネットをやっていれば誰でも辿り着く場所だ。実体験を含め大いに納得する。等身大、とまではいかなくとも、オタクというモノがどういう心理で情報を集め、それを吸収していくのか、そしてそれが他の人間にはどういう風に映っているのかを、分かりやすく描写していると、俺は好意的にとらえてもいいと思う。今回もいくらかの有名サイトが実名で出てきたけれど、確かにオタクなら一度は目を通したことのあるサイトに間違いはなく、桐乃に、沙織に、黒猫に親近感を持たせるという意味では、非常に優れた手段だと評価したい。まあ勿論、話題性を持たせるという意味も多分にあるだろうけど、それくらい目を瞑ってもいいんじゃないかな。ただ、二匹目のどじょうを狙って、そのフォロワーみたいに似たようなジャンル、特にネットでの話題性を狙いすぎたラノベが量産されても面白くないけど。
 オタクというモノに対する偏見の象徴として、終盤には宮崎勤事件をモチーフにしたやりとりが多少見られた。まあ、世間的に見れば、やっぱりオタクってのはいじめて楽しい種類の生き物なんだな、というのを俺たちははっきり自覚した方が良い。オタクが世間に認められてきたとか、そういうバカな考えは持ってはいけない。オタクは虐げられるからこそオタクであり、その代償としてキモイ創作行為を許されていると、自分は考える。
 オチは相変わらず、「……え? それでいいの?」と思わず言いたくなるほど拍子抜け。前作でも「え? そんなもんなの?」と思ったから、そこは特に成長してない。もっとラストが盛り上がれば、特に欠点が無いくらい楽しいラノベだと思う。
 現実の妹と、エロゲの妹は違うってのは超同意。実際に実の妹には何も思わないけど、俺は義理の妹属性が大好き。黒桐鮮花サイコーだし、遠野秋葉サイコーだし、日向なずなサイコーだし、朝倉音夢サイコー。妹ってのは、義理じゃないとダメなんだよ、やっぱり。そこは超同意するね。斑目大先生も言ってたけど、現実の妹なんていらんのですよ。(書いてから気付いたが、鮮花は実の妹だった。でも好きだ)
 実際に、コミケに桐乃みたいな奴が来たら、すんげえ迷惑そうな顔してガン飛ばしそうな自分の心の狭さを感じた。でも、そうでしょ?

 名言
「なんですって……? ――――ハ、思ってるわよ、悪い? むしろこのカッコよさが分からないなんて、あなたの感性を疑うわ。まったく、周りの風潮に流された低脳の豚どもがよく言う台詞よね……ハンドルネームの両脇を†で囲んだから厨くさいとか、聖とか堕とか、美麗で嘆美な字を名前に使ったらDQNくさいとか……。なによそれ? 勝手に決めないで頂戴。何がカッコ良くて何がカッコ悪いかなんてのはね、私が自分で決めるわよ」