機械仕掛けの竜と偽りの王子

機械じかけの竜と偽りの王子 (電撃文庫)

機械じかけの竜と偽りの王子 (電撃文庫)

 なんだかタイトルに惹かれて購入。確か、新宿に新しいBOOK1STが出来た頃。面白かった。けど話は、まだまだ序章という感じ。電撃文庫ではもうおなじみだけど、あんまりラノベっぽくない感じも多少。キャラ萌えもあんまり無いし、フツーにガチファンタジー。だがそれも良い。
 中世ファンタジーですかね。ファンタジーといえば剣と魔法の世界的なイメージがあるけど、今作は剣と機巧鎧の世界。攻殻のアームスーツだけ中世に持って行った感じ。機械と機械のぶつかり合いが繰り広げられて、パワーバトルも好きな自分としてはなかなか面白かった。ただ一つだけ疑問だったのが、機巧鎧の動力源って何?
 伏線を張りに張りまくって、そのほとんどを放り投げたまんま終わってしまった。ヤンマーニ並の怒濤の伏線回収ラッシュを期待していた分、多少がっかり。好意的に解釈すれば後に続けたんだろうけど、もうちょっと回収するなりラストに何か匂わせるなりして欲しかったなという気持ちも。
 戦闘描写は、丁寧だけどイマイチスピード感が無い。モチーフがモチーフだけにあんまり疾走感を重視せずに重厚感を出したのかも知れないけど、もーちょっとテンポ良かったらストライクだった。ただ、これは完全に好みなので、重厚な戦闘描写は作風に良くあっていたと思う。
 電撃にしてはページ数が多かったので、ちょっとだけ読むのに時間がかかった。改行も少なめで文字が詰まってるから、なおさらそう感じたのかも知れない。
 アシュフォードの格好良さに惚れた。前半であれだけ胡散臭く描写しておいて、ラストのそれは「卑怯だろーー!!」と思いっきり叫びたくなるくらい格好いいぜ。あの最後を思うと、フランシスカとの最後のやりとりがまた涙を誘う。
 ただ全体的に、キャラがちょっと薄いかな、との印象。淡々と進むからかもしれないけど、ライトノベルで(あざといとかではなく、純粋に)キャラ萌え要素が無いのは、個人的に思う「ライトノベルの定義」からはちょっと外れているかな。あるいは、アシュフォード萌え?
 ともあれ、続きが出たら絶対に買います。面白かったです。

 名言
『何の。我が身に代えても主をお助けするのは、機士の本懐です。それに、何があっても殿下をお守りするというのは、亡き妻と交わした最後の約束でもありますので』