ぴにおん! 2

ぴにおん! 2 (MF文庫 J ひ 4-2)

ぴにおん! 2 (MF文庫 J ひ 4-2)

 佳作を取った一作目の面白さが、五割くらい薄まった感じがします。一番伸びしろあると思ってたけど、俺に見る目が無かったか、それともまだまだ発展途中なのか。後者であることを切に願う。
 前回の感想は、文章に誤魔化し入っててオチも読めるけど面白かった。今回の感想は、文章に誤魔化しは減ったけど相変わらずオチは読めるし面白くない。前作から大幅にパワーダウンという印象。というか、今回はストーリーにも誤魔化しが随分入っていた気がする。水着か。まあ、良いと思いますよ、水着は。特にバンビの水着が一番良かったけど、話しの流れ的に無理が無いかな、少し……。いや、バンビの設定とかも勿論好きなんだけど、うーん、なんかおかしいよな、と違和感。その正体は、ストーリーの運びがすっごく行き当たりばったりに感じること。なんというか、こう言っては悪いけど、まず話しの全体像を考えて書かれた気がしない。細かいストーリー展開や伏線を何処で張っておくだの、設定はここまで見せるとか、こういう風にキャラが動いたら自然だとか、ストーリーのここは飛ばしていいところとか、此処は書かなくちゃいけないところとか、この繋ぎは良くないとか、色々と。やっぱりこの作者、書くことに慣れてないんだと改めて思う。読めちゃうんだよなー、途中で。カオルが超能力者だったのも、実際は女だってのも、変身能力があるってことも。全部読めちゃう。なんというか、全部をひっくるめていえば、伏線の張り方が下手。
 なので、私は思います。この樋口司先生が、小説を書くという事に本当に慣れた頃、凄い作品をのこしてくれるんじゃないかなー、と。少なくとも私は期待してます。今作も前作も、話自体は結構面白いと思ってます。だから、この「ぴにおん!」シリーズで思いっきり修行を積んで、新しいシリーズを書いたりしたりするときに、とんでもない実力を発揮してくれたら、私が大喜びです。本気でファンをやりたい作家が一人増えるわけですから。
 なんだか凄く偉そうな事を言いましたが、今作はあんまり面白くは無いです。ただ、まだまだ伸びしろを感じさせてくれる造りではありました。
 続きを楽しみにしています。

 名言
「……一美、ちゃん」
「ちゃん、いらないです」