ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット

 待ってましたブギーポップ! まさかのフォルテッシモ登場で熱い展開でした。やっぱりブギーポップは安定して面白い。思わずニュルンベルクのマイスタージンガーを口笛で吹きたくなる面白さ。というか、今聴いてます。
 スキャッターブレインという名前のMPLSが今回の世界の敵。相手からイメージや記憶を抜き取って、他の何かに投影する能力? なのか? 上手く説明出来ないけど、まあ何となく言いたいことは分かる系の能力。ちょっと疑問だったのが、何でセロニアス・モンキーが勝手に付けた名前が敵の名前として定着しちゃったんだ? 単に日記の中に出てきた勝手に付けたあだ名程度のモノだったのに、最終的にスキャッターブレイン自身が名乗ってたし。
 ブギーポップの雰囲気として、全体的に静かに進んでいるはずなのに、いつの間にかテンションはマックスという静かな加速器みたいな特徴が好き。物語は真ん中辺りからずっと最高潮なのに、まだまだ来るぞ、みたいな強いけどゆっくりとした押しを感じるのが魅力。今回はまさかの次期統和機構総帥とMPLSとの対面なんかもあったりして、相変わらず上遠野作品っぽいニヤリも楽しめる。でも今回は、既存作品のキャラの登場はかえって少なめで、最後にちょっとあるくらい。唯一フォルテッシモとエンブリオがばばーんと出てくるけど、まあフォルテッシモは強烈すぎて忘れられないから良いだろう。上遠野作品はキャラが多すぎて、クロスオーバーしてもあまり思い出せないことが多いから、そこは嬉しい。
 相変わらずフォルテッシモが最強過ぎて惚れる。こいつのせいでブギーポップがつまらなくなったと言う人もいるが、俺は好き。エンブリオとの掛け合いは、なんだかケイスとディクシーフラットラインを思い出すけど、こういうのって悪くない。そして敵はかなり強力で、読み応えはアリ。フォルテッシモも一度やられる強さ。ブギーポップの相変わらずの格好良さも好き。
 やっぱり、ブギーポップは面白い。何だかんだで面白い。次はまた一年後かな? 楽しみに待ってます。

 名言
「俺は敵の方に向かっていったんだぜ。しかも、背中を相手に向けたままだ」
「世界の敵を倒せる者は、この世界の中にはいない。それができるのは、自らもまた世界から逸脱することを覚悟した者か、未だ自覚しない次なる世界の敵か、それとも――ぼくのように自動的な存在だけだ」