ある日、爆弾がおちてきて

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

　ネット界隈で非常に評判が高かった事を何となく思い出して、新刊を買いに本屋に寄ったついでに購入。貯まっている新刊を放っておいて読む。
　過大評価だと思った。確かに面白いが、少なくともライトノベル板大賞を取れるほどとは思わない。思わないが、確かに面白い。短編形式で、全てが時間系SF。特に面白かったのは、「おおきくなあれ」と、「むかし、爆弾がおちてきて」の二つ。前者に関して言えば、恋人が自分の事を忘れちゃう展開に非常に弱いから、なんかグッときた。しかもそれが数日で治る保証付きだから、安心してグッとこれた。後者は、まーそうするんだろうなと思った結末だけど、そういう勇気ってとっても素晴らしいと思う。死んだ一日を繰り返す「恋する使者の夜」も嫌いじゃないけど、ちょっとテーマが手垢付き過ぎかな、と思う。
　どの話も結構ハートにチクチク来るんだけど、ハートを突き刺すような刺激や感動は無かった。もしかしたら、自分が高校生くらいの時にこれを読んでいたら、凄く感動できたのかも知れない。ああ、無駄に年をとったんだな、俺と感じられるラノベだった。
　あと、あとがきが面白かったです。凄く真面目に作品解説してくれて、思わず唸ってしまいました。作品の細部を事細かに解説するのはつまらないけど、全体のテーマやコンセプトみたいなのを教えてくれるのは、とっても良いあとがきだと思います。

　名言
「……ゆうえんち！」